ものづくりの好循環モデルを創造する
地域の組合は、大手企業と戦うため・お客さまへの価値を高めるため・継続した事業のため、同じ志を持った仲間たちの集まりです。皆さんの努力は、オリジナルブランドとしての提供もありますし、製造力をブランド化し大手企業との取引もあります。これにより、ものづくり力を強みとした事業の拡大が見込めるようになります。そして事業が順調にまわり好循環となっていきます。
この好循環モデルを確立させるためには、日々の努力も当然ながら、ITを活用した戦略の具現化が助けてくれます。
ものづくりの地方創生におけるITの役割は?
ものづくりは、職人の匠なものづくりが差別化となる価値ですから、ITはそれらを支援する立場となります。領域としては、マーケティング・生産管理・サプライチェーン・取引先管理・コミュニケーションで、優秀な社員のような活躍を期待されています。
では、ものづくりのITの活用法を見てきたいと思います。
マーケティングとしての役割
ものづくりのマーケティングは、製造品の価値を消費者に伝えることです。ターゲットとしている消費者に地域の取り組みを理解していただかなければなりません。しかも、それが差別化できなければなりません。たとえば、豊岡市の鞄であれば、鞄の絶対的な品質を伝えます。つまり、地域のブランド化です。何故、豊岡市の鞄が良いのか? ということです。
もう1つ重要なマーケティングとして、実際の消費者の体験した声です。企業が一方的に良いをアピールしてもブランド化にはなりません。ブランドは消費者が評価して決まるからです。ですので、実際に商品を手にして体験した声をマーケティングとして取り込むことで、ブランディングを手助けします。
工程管理・生産管理
ものづくりには、原材料の仕入れが必要です。また、幾つかの工程を経て商品となります。地域や商品によっては、各企業が工程を受け持っていることもあり、地域を1つの工場と見立てて生産管理をする必要もあります。生産性はボトルネックで決まりますから、地域全体の生産から適正な生産をマネジメントすることが出来ます。
「職人による匠なものづくり」は、絶対的な品質が価値ですから生産量の調整が必要です。生産を多くすれば儲かると思うかもしれませんが、生産量を増やしブランド価値や、品質を落としてしまうと匠ではなくなります。先日、某TVを見ていたら、海外からの需要が増えてきたので、生産量を今の2倍にするため工場を立てているとの社長コメントがありました。量産することで儲けは増えますが、なぜ海外からの需要が増えたのか? なぜ母国の同様な商品を買わないのか? 問い詰めていくと、日本の品質が高いことにあります。そこに価値を感じて、わざわざ日本で購入するのです。これが、海外にある商品と同レベルになってしまったら、日本で購入する意味がなくなるのです。
よって、品質を維持することを前提とした生産量の調整が必要となり、卸先となる取引先と調整することが好ましいと考えます。
販社とのコミュニケーション
市場における鞄のニーズを知る必要があります。インターネットで流行を知ることはできますが、広告の意図が媒介される場合があることや、個人的趣味、膨大な情報から正しいと思える情報の取捨選択と大変です。ですので、販社が実際に聞いている消費者の生の声をフィードバックしてもらい、鞄の開発に活かします。
販社にとっても売れる鞄を販売したいはずですので、お互いにメリットがある事になります。
まとめ
ものづくりは地域を1つの企業として見立てた事業となります。そのためには、ITと正しく付き合い効果的に好循環なビジネスをすることが求められます。
ITは難しいと思うかもしれませんが、工夫することで扱いやすくすることができます。また地元のため、仲間のためにも努力をすることは必要です。