日本文化から考える。日本企業は経営戦略が無いと言われる理由

日本企業は戦略が無いと言われる理由は?

日本企業は経営戦略が無いと言われます。戦略が無いと言われてしまう理由には、日本の企業文化に関係があると考えられます。日本企業は協調することを優先する文化です。言い換えると、経営戦略を立てることなく、目標の数字を部門間の調整事で決め、各部門が平均して達成できそうな戦術を考えます。これでは、戦略とは呼べず、各部門の利益バランスを取ったパズルでしかありません。多くの企業で、このような実態になっているのではないでしょうか。
「出る杭は打たれる」ということわざがありますが、まさに日本文化を象徴しているように思います。アメリカは、経営陣が最終的に戦略を決定し、各部門の役割にあわせて指示をします。つまり、経営者がリーダーシップを取り、会社を舵取りします。この方が、会社の方向性が明確となり社員は迷うことなく評価されようと全力で戦います。アメリカが世界最大の経済大国になった理由には、このような企業文化の違いがあったからだと思います。

日本文化ではどうしたらよいのか?

部門都合で作られた目標では、激しい競争に勝ち残っていくことは厳しいです。打開するには「トップダウン」もしくは「事業部長を全社視点で考えられる人財に育てる」かの2つの方法しかありません。

トップダウン

社長がリーダーシップを発揮することで、企業文化を変えることができます。これには、社長一人では無理で、経営陣や部門長がトップダウンを支持して一緒に文化を形成ことが必要となります。場合によっては、外部のコンサルティングを雇い、社長直轄のプロジェクト組織として、実施することも1つの作戦です。外部のコンサルタントのメリットは、正論を言えるからです。日産のカルロスゴーンがV字回復した背景には、ルノー出身であるということで、いままでの日産の文化を良い意味で知らないことで成功に導いたと思います。日本の企業文化を変えるには苦労が必要ですが、社長が危機意識をもって取り組むことで、実行は不可能ではありません。

事業部長を経営者レベルまで引き上げる

部門長を経営者レベルまで引き上げることも1つの選択肢です。部門長は自部門のことは、誰よりも理解しています。ただ、この方法は事業部制であることが前提となります。たとえば、製造業であった場合、製造だけがリーダーシップを取っても売上には直結せず、営業だけがリーダーシップを取っても生産に影響を与えます。つまり、総合的に考えて最適な采配をするのが、事業部長です。ある意味では、小さな会社を経営しているのと同じことです。ですので、経営の知識と、英断できる勇気をもった人財でなければなりません。事業部長を教育には時間を要するかもしれませんが、部門長に限らず従業員のスキル向上に投資をすることに損はありません。

まとめ

日本文化に限ったことではないかもしれませんが、野心がある人が少ないと感じています。受け身であっても、こなせば生活出来る給与はいただけます。また、2:8の法則ではありませんが、役職関係なく一部の人財が戦略がなくてもやるべきことがわかっていて、仕事をすることが出来ます。実際に、経営戦略がなくても会社は倒産せずに回っている企業が多くあります。もちろん、成長性が悪いことや、経営リスクは多々あります。もしかしたら、経営陣の会社をこうしたいという信念が経営戦略となり、企業の推進力となります。経営者のリーダーシップが重要な鍵となります。経営戦略は、経営戦略を考える部門ではありません。経営者に責任がある重要なことです。