イノベーション基礎

イノベーション基礎

イノベーションの基礎について、ご説明します。イノベーションとは、技術革新だけのことではなく、新しい何かを創造すること全てです。新しい商品開発もイノベーションです。
このイノベーションは、難しいと思っていると思っているかもしれませんが、企業が勝ち続けるには必要不可欠な戦略で、通らなければならない道です。また、まったく何もないところからイノベーションすることができるわけではなく、考え方を知り推進していければ、決して諦める必要はありません。誰にでもイノベーションを成功させるチャンスはある のです。難しく考える必要はありません。

イノベーションの考え方

市場の変化と企業の危機

たとえば、デジタルカメラは、フィルムからデジタルに変化し画期的な商品でした。電子機器メーカーは、こぞってデジタルカメラの開発をして製品投入しました。需要があったので、それなりに売れたと思います。デジタルカメラの普及により、フィルムカメラは衰退 しました。考えれば当然の結果で、お客さまにとっては、同じ価値を得るものであり、より手軽で品質の良い商品にシフトしたからです。フィルムをビジネスとしていた、コダックは破産申請をしました。富士フィルムなど、世界にあるフィルム会社は、フィルム以外の商品・サービスへシフトしていくことを余儀なくされています。
次の事例は、レコード販売、レンタルです。TSUTAYA や、タワーレコードが有名です。この業界の変化は激しいものがあります。昔は、音楽といえばレコードが主流でした。その後、CD へシフトしました。このシフトにより、レコード機器・レコード針の販売量は激減し、レコード製造に携わってきた企業は倒産の危機に陥りました。しかし、わずか十数年で CD の時代も終わり、いまはアップルが提供した iPod と Apple Store によるオンライン販売へとシフトしました。当初は、CD に携わる企業の危機感もあり、親交のあるアーティストと著作権の侵害などの裁判をしていましたが、お客さまの需要には勝てず、オンラインへと市場はシフトしました。これにより、CD を販売していた企業はリアル店舗が不要となったので、倒産の危機となります。当然ならが、オーディオ機器メーカーも iPod に置き換わることから、倒産の危機になります。
このことは、市場を一遍させるイノベーションの事例です。お客さまは常に上の商品・サービスを求めています。上の商品・サービスが、価値・価格などに納得性があれば、シフトしていきます。ですから、企業は生き残りをかけて、市場の創造・市場の変化への対応をしていく必要があります。イノベーションは、この市場の創造・変化に対応するためには、必要不可欠な戦略となるのです。

商品・サービスと消費者の特性を知る

デジタルカメラにより、フィルム業界は衰退しました。しかし、デジタルカメラの市場にも変化がおきています。デジタルカメラが発売された当初、各メーカーが争っていたのは画素数(画像の品質)です。画素度が高ければ売れると考えられていたからです。広告をみても、画素数を全面にだし高品質であることをアピールしていました。しかしながら、最近のデジタルカメラの広告は見なくなり、あったとしても画素数ではなく一眼レフなどのカメラ好き向けにシフトしています。理由は、デジタルカメラが飽和したことは事実ではありますが、致命的ではありません。何故から、買い替え需要があるからです。本当の理由は、高画素数に対応できる技術の進歩によるものと考えます。
下記が理由です。

  • お客さまが要望するレベルに達してしまった
  • 技術の進歩により、満足するレベルのデジタルカメラの機能が携帯電話にも標準搭載されている(デジタルカメラを購入する必要がない)。

お客さまは常に上の商品・サービスを求めますが、要求レベルに満足点が存在 しています。デジタルカメラにおいては、これ以上に画素数を高めても人間の目には区別がつかないので、これ以上を望んでいないのです。いまの主軸の商品・サービスを他社に負けないように向上させていると思いますが、満足点に達してしまうと市場の衰退が始まります。衰退が始まるまえに、新しい稼ぎ頭を確立しなければなりません。

企業の生き残りをかけた新しい稼ぎ頭の開発


デジタルカメラにより、コダックは破産宣告をしました。しかしながら、富士フィルムは優良企業です。
下記が理由です。

  • 早期にフィルムからデジタルカメラへシフトした。
  • フィルム製造のノウハウを化粧品へ応用して新しい稼ぎ頭を確立させた。

デジタルカメラへのシフトは、過去の成功体験から脱却しなければならず、勇気が必要でした。誰もが、新しいことは未知のことであり、不安要素があるからです。
ここで、注目したいのは、化粧品事業の成功です。フィルムには、コラーゲンが使われていたようです。つまり、コラーゲンのことを知り尽くしていたのです。コラーゲンが美肌に効果があるとわかれば、化粧品事業を新しい主軸にすべきです。いくらコラーゲンを知っているといえ、化粧品開発は困難だったはずです。この開発には、富士フィルムの研究員の努力だったと思います。この化粧品が富士フィルムにとって、イノベーションに位置づけられます。
上記のように、イノベーションは企業にとって重要な戦略となります。すぐに稼ぎ頭になるものではありません。また、主軸になるかは、お客さまが判断することであり、主軸となる商品・サービス開発になるために、お客さまの判断を反映して時間がかかるかもしれません。企業としては、待てない事情があるかもしれません。その場合は、違う戦略を取り目先の危機を乗り越えなければなりません。しかし、いま危機的状況ではないのであれば、危機的状況に陥る前に新しい主軸となる商品・サービスの開発のイノベーション戦略に取り組まなければなりません。