システムリニューアルをすることで総合的に投資を抑えることになっていますか?

IT経営

システムリニューアルすることで総合的に投資削減効果がありますか?

巷には、システムリニューアルの理由がたくさんありますが、何かしらの理由付けをしているように思えます。たとえば、ECの売上向上とリニューアルは関係ありません。ECは、リニューアルをしたからといって売上が上がるわけではなく、売上施策をすることで、はじめて売上アップに繋がるからです。つまり、ECリニューアルしで売上向上になるのは、「いま以上に売上向上施策が実装される」「今後の売上向上施策が容易に出来る」ことが成り立つ場合です。単純に既存ECと同じ仕様で作り変えただけでは、売上効果は期待できないのです。
ちなみに、技術的に新しいECで実装できて、既存ECで実装できないことはありません。もし、リニューアルしないと技術的に出来ないというSIパートナーがいたら疑っても良いでしょう。

システムリニューアルのメリットは?

システムリニューアルをするということは、設計を見直すということです。つまり、これからの戦略を具現化する、コアコンピタンスの強化、市場の変化に臨機応変に対応する柔軟性、他社に負けないスピードを実践するための基盤となる重要な意味があります。この基盤に戦略を実行する機能を追加(カスタマイズ)して、自社にマッチしたシステムへと育てていくことがベストとなります。もし、深く考えずにリニューアルをしてしまったら、直ぐに新しい基盤が必要となり、リニューアルを繰り返すことになってしまいます。自社だけでは難しいようなら、IT経営に詳しい専門家をプロジェクトに参画してもらうことを検討した方が良いでしょう。

システムリニューアルを判断する2つの要因

システムリニューアルで総合的に投資を抑える判断をするポイントは2つあります。「カスタマイズの限界を感じたとき」と「パートナーを変えたいとき」です。このどちらか、(もしくは、両方)が成り立ったときは、リニューアルを検討した方が良いかもしれません。

カスタマイズの限界を感じたとき

システムを使っていれば、経営戦略の実行のため、市場の変化、法改訂等の様々な要因により、経営基盤を支えている現在のシステムに何かしらの不都合(問題)が発生します。この不都合を解消するために、カスタマイズをすることになるのですが、既存機能への影響、他システムへの影響が大きく、今後もカスタマイズを予定していることを考えると、リニューアルした方が安く済むかもしれないと思ったときです。

なぜ、リニューアルの方が安いの?

カスタマイズして実装する機能は、リニューアルに比べて規模が小さいのだから、なぜリニューアルの方が安いのかという疑問があると思います。
答えは、プログラムの作り方、システム管理が原因です。多くのSI企業は、既存システムを開発する際にヒアリングした要件を最終形として、将来のカスタマイズ性を考慮しない設計をします。また、発注する側もSI企業にカスタマイズ性を指示しなければならないのですが、ビジネス思考+IT経験がないと、適切な指示も出来ないのが実態です。更に、開発プロジェクトは難航することが多く、納期に間に合わせようとして煩雑なプログラムとなり、仕様書の管理も疎かになり、リリース後も放置される傾向にあります。このことが、既存機能への影響、他システムへの影響を大きくしてしまい、カスタマイズ費用を高めてしまうのです。
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SIパートナーを変えたいとき

SIパートナーを変えたい理由は、2つです。「既存SIパートナーに満足していないとき」と「コスト削減したいとき」です。このどちらか、もしくは、両方が要因となって、パートナーを変えることになります。

既存SIパートナーに満足していないとき

既存SIパートナーから、「経営に貢献する提案がない」「スキル不足」「自分たちの利益ばかり気にしている」等の不満があり、満足されていないのだと思います。このようなときは、残念ながら、新しいパートナーを探すしかありません。
でも、システムは自社の持ち物であり、リニューアルとは関係ないという疑問があると思います。
答えは、新しいパートナーが既存システムをカスタマイズするには、既存システムを細部まで知るプロセスが必要になり、このコストが安くないからです。新しいパートナーは、カスタマイズをして、もし他の機能に影響を与えてしまい、業務に支障をきたしてはいけないと考えるため、慎重に細部まで調査をして実施をします。この作業は、プログラムから事実をドキュメント化するので、安くはないのです。もし、既存システムのドキュメントが整備されていたとしても、ドキュメントが正しいことを誰も保証してくれないので、何かが起きたときのリスクを考えると、作業コストは減りますが、調査は必要になるのです。だったら、カスタマイズのタイミングで、新しいパートナーにリニューアルしてもらった方が、将来的にも良いとなる場合もあるのです。
また、クラウドサービス等を利用しているときは、システムは借り物ですから、新しいパートナーのクラウドサービズにシステムを乗り換える必要があります。

コスト削減したいとき

既存システムにかかっているコストを安くしたいときです。これは、カスタマイズ費用、ランニングコストなどの総額の削減です。
たとえば、本格的にECを運用するには、インフラとアプリケーションが必要になります。ざっくり、数千万は必要です。仮に8,000万とすると、減価償却5年定額で月額133万円です。これに、データセンター費用、各種保守なども加えると、月額200万以上になるかもしれません。また、初期投資のイニシャルが高くなるので、キャッシュフローの観点からも好ましくない場合もあります。
このようなときは、クラウドサービスも1つの選択肢です。初期投資は掛かるものの格段に安く、24時間365日の監視とSLAがありますから、安心して任せることができます。しかも、多機能で、カスタマイズ性があれば、将来性もあり総合的にコストを大幅に削減できるかもしれません。
さらに、自社のEC運営要員も企画・実行に専念できるメリットもあります。総合的コスト、キャッシュフローの両方の観点から、シミュレーションしてみると良いかもしれません。

まとめ

システムリニューアルは、既存システムのカスタマイズ性の限界、SIパートナーの限界を解決することが要因となります。そして、リニューアルをするなら、総合的な投資削減効果がなければなりません。このことは、リニューアルの恩恵を享受し、戦略的システム基盤となるようにすることが大切です。
システム(IT)は、経営に必要不可欠な存在であり、ITをマネジメントすることは、経営に重要な役割となっています。