オムニチャネル時代のバックオフィス

オムニチャネル

オムニチャネルのバックオフィス

オムニチャネルの導入において、EC、店舗、倉庫等のシステム同士が連携することは必要不可欠です。
注文したら在庫切れでお断りすることや、納期が遅れることは、サービス低下につながるからです。しかも、非効率で煩雑な業務となるため、ミスや経費アップにもつながってしまいます。小規模なうちは、こなせるかもしれませんが、いつまでも非効率のままで良いわけではありませんし、売上アップに比例して重大な経営課題へと発展してしきます。

オムニチャネルのバックオフィスの検討

では、どのように検討していけばよいのでしょか?
ネットで検索しても具体的な話はなく、個別ソリューションとなっています。また、シームレスな連携とあるが、技術的・構成としてどうなっているのかが不明である。もしかしたら、膨大な投資になるかもしれないし、入れ替えた方がよいと提案をうけてしまうかもしれない。ソリューションを提供する側としては、企業個々にバックオフィスの仕組みは違うために、このような表現しか出来ないのかもしれません。
しかし、悩んでいても解決はしないので、既存パートナーに相談することからはじめます。EC、店舗、倉庫のそれぞれを担当したSIパートナーです。もし、特定パートナーだけにすると偏りのあるソリューションになってしまうため、個々の良いところを活かしつつも全体最適化を図ることが重要だからです。
バックオフィスのパートナーから、ECパートナーへ、仕様を提示したとしても、APIを使えば安く・早く出来ます。また、仕様をあわせるにはDB構造にも影響して膨大な改修が発生するかもしれません。更に、拡張性が奪われECマーケティング施策に支障をきたすかもしれません。ですので、関係パートナーが集まり、お客さまのベストな解となる具現化する方法を検討して、実行すべきなのです。
(補足)既存パートナーに不安を感じる。全体としてプロジェクト化することは理解できるが、自社にはリーダーシップを取って推進することが難しいと思われるようでしたら、スポットでコンサルティング会社に委託することも選択肢です。コンサルタントの知恵と経験から最適な方法へと導いてくれます。プロジェクトが難航して中途半端になってしまうようであれば、効果があり総合コストも下げることができるかもしれません。

オムニチャネルのバックオフィスへの影響

セブン&アイでは、ECで購入した商品をコンビニで受け取れます。このサービスを実現するためには、物流の仕組みを改修しているはずです。別々に対応していたら、物流コストが膨らんでしまいますので、商品と同時に商品も配送できるように、ピッキングリスト、配送リスクなども修正されているはずです。それ以外にも、オムニチャネルの目指すところは販売数を増やすことにあるので、機会損失を減らすために生産計画(もしくは仕入計画)にも影響があります。販売量が増えれば、出荷処理にも影響しますし、カード決済、振り込み決済の量も増えるので、財務量も増える。また、問い合わせも増えるので、コールセンターも大変になる。つまり、事業が拡大することによる、いままで問題ではなかったことも良い意味での経営課題へと発展しています。

オムニチャネルを躊躇させる壁

オムニチャネルを構築する際に想定される課題です。やらなければならないことは理解しているが、影響が大きく躊躇する要因にもなっていると思います。でも、この壁を越えなければ永久にかわることはできません。

インフラの課題

ECと商品在庫を管理するシステムが物理的に違う場所にある場合、在庫情報などのデータをどのようにして「リアルタイム」に連携すればよいのか? という問題が発生する。物理的に同じであれば、データベースへの接続ができるため、アプリケーションを開発すれば良い。しかしながら、物理的に別にある場合は、お互いをAPI接続するか、VPN接続する必要がある。つまり、インフラへの投資、設計変更が必要になってくる。

バラバラに構築されたデータベースの課題

オムニチャネルに限ったことではないが、同じようなデータが複数存在している。もし、2重入力しているようであれば、少なからず同じデータが複数存在している証拠である。オムニチャネルのようにデータを一元化しようとする動きにおきて、複数存在していることはデータの整合性が取れない可能性がある。これを機会に整理することをお奨めする。
簡単に整理する方法は「正」を決めることである。たとえば、倉庫にある商品管理システムにある在庫数が会社の正しい在庫数であると決めにするということです。あとは、各システムは、このルールに従って処理をすればよい。

オムニチャネル業務の課題

オムニチャネルを導入すると、各業務に影響する。店舗では、リアルで在庫確認が可能となり、店舗に在庫がなければ他店舗、ECでの販売を紹介し、機会損失を防ぐことができる。また、物流も効率化するために、店舗への配送時にECによる店舗受け取りサービスの商品も同時に運べるようにする。つまり、ピッキングリストの改修が必要になるわけですが、このことを物流担当者に伝え業務に加えてもらう必要があります。つまり、リアルな業務に対する影響を全社に連絡し、定着させなければならないということです。

オムニチャネルのバックオフィスを成功させる3つのポイント!

オムニチャネルによるバックオフィスへの影響は大きい。でも、最初から完璧にする必要はない。オムニチャネル戦略を取ったからと言って、翌日から売上が何倍にもなるわけではない。どうしても時間がかかるものである。ですので、この時間を無駄にせず、計画的に優先順位を決めながら整備していくことが大切なのである。

サービスを設計する

利益を追求するオムニチャネルのバックオフィスは、冒頭にもあるようにサービスを提供する仕組みです。いまの業務の整合性を合わせるのではなく、このタイミングでサービス向上のための施策も盛り込むべきである。
たとえば、出荷までの期間を2日から翌日配送にする等である。もちろん、商品在庫との兼ね合いもありますが、小売業の基本戦略はオムニチャネルとなっていくので、一元化から1つ上のサービスを展開していかなければならない。せっかく、投資をするのですから、戦略的に攻めたサービスも具現化できるようにしていきます。このことにより、差別化していき、先行メリットを受け、その利益を更なる高みへの源泉とするのです。

業務の流れを再整理する

BPRとも近しいですがが、主目的は無駄を取るというよりは整合性を取るということです。何かしらの業務が変更されてば、少なくとも前後の工程にも影響があるはずです。もし、ここに新たな問題が発生しないように確認しておくことです。
BPRも含めたくなるのですが、あれもこれもとすると、リリースが遅くなってしまいますので、検討は良いですが、実装のタイミングには注意が必要です。

計画とITアーキテクチャーをマネジメントする

注意すべきは、検討していると欲がでるものです。機能を盛り込む過ぎて、リリースが遅れるということは、サービスは顧客に提供することが遅くなるということです。少しでもサービスは早期にリリースすべきで、早ければ早いほど恩恵をうけれるのです。一気にやるのではなく、1つ1つ計画的に実施していくことも選択肢です。小規模なリリースを短期間に繰り返すのです。そのためには、計画とアーキテクチャーの整合性が取られていなければなりません。でなければ、計画通りに進めることが出来なくなるだけではなく、投資額も膨らんでしまいます。

管理会計を見直すことを忘れずに!

管理会計まで考えられる人は少ないのが残念だが、管理会計への影響がある。たとえば、物流の効率化をするということは、活動基準原価計算の取得方法に影響がある。更にいえば、指標とすべき数字が変わってくるので、見直しも必要になる。つまり、オムニチャネルにより影響する業務に対する管理会計も見直しをしなければならないということである。

まとめ

事業内容や自社の強みによって差別化要因は違いますが、顧客視点で顧客の困っていることを助けるサービスを構築することが大切なのです。どうしても、IT無くして実現はできないので、SI企業などがIT基準でオムニチャネルを自社サービスに照らし合わせて、あるべき論を語りますが、それだけでは弱いのです。もちろん、大切なことですが、プラスとしてオムニチャネル戦略をどのようにすべきかというから入るべきなのです。そのためには、ビジネスとITの両方の視点で物事を考えることが必要不可欠なのです。