事業に貢献するITソリューションの選び方

IT経営

ITソリューションを考えるきっかけと原因

ITソリューションとは、一言でいえば課題をITで解決することですが、事業に貢献するITソリューションをどのように選んでいますでしょうか?
ITソリューションを考えるきっかけは、経営課題の認識からはじまります。したがって、ITソリューションは課題の根本原因に対して適応することを考えなければなりません。
では、経営課題が認識されるときはどのような時かといえば、小さな問題が積み重なり量的に無視できなくなってしまった状態になってしまった場合が多いと思います。
たとえば、EC事業で配送ミスをお客さまから指摘され、配送ミス防止のためダブルチェックを再発防止として取り組みます。次は、リアル店舗とのキャンペーンを実施していたが特別ポイント付与が抜けてしまったお客さまから指摘をうけ、キャンペーンの際にはチェックシートを使い再発防止に取り組みます。お客さまにご迷惑をおかけしないためにと思い、このような再発防止を繰り返していった結果、出荷までの時間を要してしまいサービスの低下、コストが増加するといった問題を引き起こします。
最初は業務ミスを防止するための再発防止としての取り組みをしているため問題意識は無かったが、再発防止が増えてくると、再発防止が足かせとなり業務効率を悪化させてしまうことになり、様々な問題を引き起こすことになります。業務ミス防止と思っていた改善が、違う問題を招いてしまったわけです。
また、ECの売上が上がらないといった課題には、プロモーション・製品・価格・サービス(お届けまでも時間・リアル店舗とのポイント統合など)などの複数の要因が重なり合っています。お客さまは自分の置かれている状況・嗜好性で、対価が最大となるパターンを選ぶ傾向にあるのですが、値下げキャンペーンを実施していたが、キャンペーン時期しか売れずにECの収益性を悪化させることになってしまった。ということもあります。
課題を解決し、事業に貢献するITソリューションはどのように選べばよいのでしょうか?

市場にあるITソリューションは?

課題を認識してITソリューションを考えることになりますが、原因が曖昧のまま、気になるキーワードをもとに調査をはじめることが多いのではないでしょうか。
そして、キーワードに引っかかったサイトを見ると、いかにも課題解決しそうなことが記載されていますので、提案をうけ導入することを検討します。(全てではありませんが)世の中のソリューションは自社のサービスを売ることが目的ですから、課題解決になると記載されているのは当然のことです。
しかしながら、これだ!と思えるソリューションに出会うことは少なく、しかも、どれも似ているため、どれを選択すれば良いかわからないのも事実です。
ソリューションを提供する側もビジネスですから、市場規模があるサービスへの参入が増え、ソリューションも成功事例をもとに考える傾向があるため似てくるのも当然です。
とはいえ、ソリューションの提案をうけ導入する側としては、まったく同じ事業体制・運営をしている企業はありませんし、ソリューションを提供する側のサイトも、広く受け入れてもらえるように広く漠然とした記載をしますので、目についたソリューションの中からこれが一番近いと思われるソリューションを選んでいるのが実態だと考えられます。
ただ、課題解決に一番近いソリューションを探す際に注意すべきことがあります。それは、検索上位の1社で選ばないことです。なぜなら、これからのソリューションは、個々の分野で最適なソリューションを組み合わせて、ベストソリューションを構築する時代だからです。

ベストソリューションは個々の組み合わせ

ITソリューションはオープンな時代です。競合でありながらも時には協業となる各社のソリューションがシームレスにデータ連携できる仕組みが公開されています。
この仕組みを利用して、各社の良いところだけを組み合わせたベストソリューションをつくることができる時代となりました。身近な例でいえば、ECにおける決済会社との連携です。利用者は意識しませんが、カード決済時にカードの有効性や限度額を超えていないかチェックをしています。
この考えは、インターネットとエンジニアの努力によって飛躍的にソリューションの質と量を高めた結果です。この恩恵をうけ、ベストソリューションを考えることが、これから重要になる時代です。

ベストソリューションはロングテールに隠れている

ITソリューションは、世の中には多く存在しており、アイデアと技術があればパソコン1台で事業が開始できます。中には零細企業ながらも、大企業に負けないソリューションを持っている企業もあります。しかしながら、大企業のマーケティング力に隠れてしまい、お客さまに知ることもなく提供できていません。これは、お客さまにとってソリューション機会を損失していることになります。
皆さんの会社のシステムは、SalesforceがCRM、SAPがERPといった具合に複数社が存在しているはずです。これと同じように、ある部分においては大手ではなく零細ながらもベストなソリューションを提供する企業を選択することです。
つまり、ベストソリューションを考えるうえでソリューションと出会えないことは残念でしかありません。実はロングテールな企業ほど、機動力があり良いソリューションがあります。企業規模が小さいからという考えがあるなら、捨てて貪欲に相談してみることをご検討ください。もし相談しても適さないとなれば、ビジネスですから別を当たればよいだけです。ただ、適さないと思い込んだソリューションで競合他社が採用して成功した姿を見るのは嫌なものです。

ベストソリューションは誰が考える?

ITソリューションは社内の情報システム部門に相談するケースが多いと思います。しかしながら、情報システム部門も業績アップ、コスト削減といった良いことだけを並べたソリューション企業の情報だけを見ても判断できないのが現実です。また、ソリューション提供企業に相談しようとしても、営業からのしつこい連絡と面倒なお断り対応を懸念して躊躇してしまいます。出来ることならば、ITと経営の有識者である相談相手を経由するとベストです。これには、第三者意見を取り入れたベストソリューションを選定する支援者としての役割も持ちます。ようは、弊社のようなコンサルティング・情報システム部門の支援の存在が、ITと経営の視点から、ベストソリューションの組み合わせを提案する役割を担ってくれます。
他方で、現実的に多い事例としてはシステム開発会社への相談です。システム開発会社は、豊富な事例を売りにしているため、ベストなソリューションを提案してくれると思っているからです。
確かに実績は他社事例であり説得力があります。反面、事例の域を超える可能性は低いかもしれません。
なぜなら、プロジェクト(ソリューション)の失敗例を調査すると、発注側のスキル不足であるという記事が横行しているからです。「やりたいことを整理してからシステム会社に発注する」「お客さまの要望を出来ないことは出来ないと言うことで成功に導く」という記事(インタビュー)です。品質を確保できずに迷惑をかけるという視点からは理解しますが、これでは自己都合の言われ仕事の言い訳に聞こてしまいます。言い換えれば、お客さまにとって本当のソリューションであるかは関係ないということです。これでは、いくら豊富な事例があるシステム開発会社に相談してもソリューションは期待することはできないとなってしまいます。
本来は、お客さまが曖昧な部分も含め、ベストなソリューションを明確化することも仕事です。
建築でいえば、建築士がヒアリングをしながら、建築士の立場として法律、耐震性、日射、換気等々を考慮して設計図をおこし建築します。システム開発会社の場合は、この建築士の役割をお客さまであると勘違いしているようです。(全ての企業というわけではありません!)

まとめ

ベストなITソリューションを選ぶには、下記5点に注意が必要です。
● ロングテールにも優れたソリューションはたくさん存在している。ロングテール含めたソリューションを検討する
● トータルソリューションではなく、個々の優れたソリューションを組み合わせる
● ソリューションは課題解決だけでなく、将来性を考慮したなIT全体のマネジメントも検討する
● 事例は大変有益ではあるものの量より質を求める
● ソリューションは社内組織だけでは難しい。第三者の有識者に参画してもらうことを検討する
これにより、結果が期待できるソリューションを選ぶことができる時代へとなっていると思います。
そして、一番重要なのは、ソリューションを事業に結び付けて業績をあげるべくアイデアと工夫をすることです。同じソリューションでもビジネス発想をすることで、収益を何倍にもあげることができます。
たとえば、ECもネット上の販売の仕組みとして導入するか、ネット上の旗艦店として導入するかで、効果・施策・将来性が違ってくることは当然で、ビジネス発想がソリューションの効果を高めます。