CIOが語る!ITは優秀な社員です。道具と考えると失敗します。

経営におけるITの役割とは?

ほとんどの企業で、IT の本質が理解されずに活用できていないと感じています。理由には、IT は道具であると誤解 しているからだと思います。情報システム部門、SI企業も同じことを言っています。IT のプロフェッショナルな人たちでさえ誤解しているのですから有効活用されないのは当然です。IT は人間がプログラミング(命令)を細かく定義して、ITが自ら考えることなくその通りに動くことから、このような認識になったと思われます。また、大昔には ITは経費削減の役割として期待され、電子化することで情報系の伝達や一括処理に役立ちました。このような歴史的事実もあって、誤解されているのだと思います。しかも、ITは道具というのは都合の良い言葉です。
しかしながら、昔からの固定概念により、ITに対する発想のコモディティ化がおき、誰もが同じ発想でITを利用することから経営へ貢献も限定的になってしまいます。IT技術は進歩し、インターネットの普及で大きく変化をしました。固定概念から脱却しなければ、IT経営は効果が期待できないと思います。

デザイニストラボが考えるITの役割

私たちは、ITを優秀な社員であると考えています。たとえば、EC では優秀な営業です。24時間365日不満も言わず、集客・情報を取引者に伝え・受注もします。音楽などのデジタル化できるものは、納品までします。ミスもしません(ミスはプログラミングミス=指示ミス)。会社では、組織として社員と一緒に、戦略に基づき成果をだすといった行動とかわらないと思うのです。社員は会社の宝ですから、社員を道具と思いませんよね。であるなら、IT も道具と思わず、社員として見ても良いと思います。ITの教育担当は、情報システム部門です。企画で戦略を考え、プログラミングで戦術を仕事の仕方を教えます。
そう考えると、IT を道具として捉えるか? ITを社員として捉えるか? ITの捉え方次第でITへ期待する役割も変化し、アイデアが膨らみ、もっともっと高いレベルの効果をだすことが期待できます。ITは人間の業務補助から技術の進歩により、業務補助から社員へと変化しています。この変化に気づきITの役割を理解した企業が、今後の企業の発展に大きく影響してくるでしょう。

IT経営を実践するには?

IT経営を実践するには、下記の注意点が必要です。発想は SOA と一緒ですが、ビジネスモデルを視点にしていることに違いがあります。

  • ビジネスモデルにあわせた設計
  • ビジネスモデルにあわせた拡張性
  • 最初から完璧を求めず PDCA でシステムを育てる
  • 部分最適化(戦略行動単位)と全体最適化(全社単位)を両立させよ
  • 営業や製造部門など各部門によって戦略が違います。戦略行動単位で分離(部分化)する
  • 差別化要因のデータを管理するテーブルとその他のデータを管理するテーブルでは重み付けが違う
  • データと機能で全体最適化のテーブルと個別最適化のテーブルがある

下記は一般的なことではありますが、なかなか出来ているSI企業が少ないので記載しました。

  • テーブルには目的がある、多目的は複雑化になるだけ
  • カラムにも意味がある。多目的はメンテナンス性を損なう
  • 正規化はいきすぎるとSQLが複雑化して性能を落とす
  • プロジェクトマネジメントにミラクルはない。王道が成功への一番の近道

ポイントを記載しましたが、IT(システム)を導入し成功させるには、ビジネスモデルを中心に考えるべきです。ここで、言葉の注意ですが、現状の業務フローに合わせるという意味ではありません。業務フローは効率化やお客様のために見直しする対象であるからである。ビジネスモデルとは、収益モデルであり企業の根幹となるものです。たとえば、不動産は「物件売買の仲介手数料」のビジネスモデルです。売り手と買い手のマッチングが成立することで収益となります。このビジネスモデルを幹として全体最適化を図り、その上で、売り手のためのIT 、買い手のためのIT を個別最適化で考えるというものです。

IT経営を成功させるには、よきパートナーが必要

多くのSI企業やITコンサルティングは、導入することが目的となってしまっています。つまり、導入後の効果は提案段階では述べるが、SI企業やITコンサルティング企業は導入することに責任があり、導入後の効果には責任はありません。ですので、導入することが目的になってしまう傾向があるのです。また、高い保守料の契約を要求し、継続的なサポートをすると提案しますが、実際はサポートは皆無で無駄な固定費になってしまうことが多々あります。
このようなことにならないためには、事業者の立場に立って物事を考えることができるコンサルタントやSI会社に依頼することがベストです。しかしながら、現実的にはSI会社やコンサルタントだけの経験者では難しいのが実態で、事業会社(社内SE)の経験がなければ、事業者の立場になり切れないのではないかと思います。何故なら、事業会社のIT投資の責任は導入ではなく投資対効果です。つまり、導入はひとつの過程でしかないからです。事業会社の採用面接で社内SEとSI企業の違いを質問するのですが、ほとんどの人が導入と答えています。両方の経験があってこそ、お互いの事情を理解して、うまくプロジェクトを成功に導くことができるのだと思います。もし社内の情報システム部門にこのような人財がいないようでしたら、次回の採用の際には考慮した方がよいと考えます。もしくは、よきパートナーを探すことをおすすめします。