中小企業の採用戦略とは?
中小企業の採用は難航していると思います。大企業に比べて知名度がなく、安定志向の若者は大手企業に入り歯車になることを望んでいる傾向があるからです。新卒の年代は、バブル世代が弾けた後の世代ですからリスクを負うことはしないよう教育されてきたのかもしれません。昔は、社長になる!とか、やる気のある若者が多かったようですが、経済の安定性の影響により変化してきたのだと想像します。とはいえ、中小企業も採用は大切な戦略です。
人財を集めるには?
中小企業の事情から考えると、研修を受けさせ教育することは困難でしょう。先輩社員と即 OJT なのではないでしょうか。求める人財像は、やる気のある若者か、年齢関係ないベテランです。
では、どのように集めるかと言えば、大企業では経験の出来ないことをアピールすることです。それは、やりがいだと思います。何故なら、中小企業は一人ひとりの期待される役割が大きいからです。やりがいのポイントは、期待されていること、成果が大きいほど達成感が大きいことです。大企業では、気持ちがあっても任せてくれません。また、限られた仕事しかさせてくれません。つまり、安定はしているものの、定年まで勤めあげる思考です。しかしながら、この事は、中小企業にとって優秀な人財を獲得するチャンスです!
採用には、中途採用と新卒採用があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。下記にご説明します。
中途採用
中途採用のメリットは即戦力です。他社で経験をしてきていますから基礎力はあります。後は自社の企業文化に慣れ結果を期待します。しかし、企業文化に慣れることは大切ですが、マンネリ化した状態から異文化を入れることで活性させることができるメリットもあります。自社では暗黙的に普通のことでも他社見ればおかしいと思うことがたくさんあります。自社のルールを押し付けて全てを否定するのではなく、なるほど!と思ったことは取り入れることで改善になります。これは、異文化で教育されてきた中途採用者でないと難しいことです。
また、採用手順ですが、履歴書で不合格をだす人を良く見かけます。わたしも数多くの履歴書を拝見させていただきましたが、確認していたポイントは、求めるスキルのキーワードがあることと、自己アピールで個性があるか見ていました。そして、なるべく書類は合格にしていました。何故なら、これもスキルなのかもしれませんが、どのような志を持った人なのかは面接をしなければわからないからです。実際の面接では、スキルチェック、人柄を確認していると思いますが、加えて「キャリアプラン」「企業文化への適正」も確認していただけると嬉しいです。理由は、採用した人の人生を、この会社で費やすわけです。スキルはあるが、キャリアプランから逸脱する仕事しか提供できないようでしたら不合格も検討してください。その人の大切な人生の時間を無駄にさせたくないからです。企業文化の適応も一緒です。入社したは良いが、すぐに退職して欲しくはありません。本人もこんなはずでは無かったと思っています。これではお互いが不幸になってしまいます。企業視点でみれば馬鹿なことを言っていると思うかもしれませんが、人としての採用も検討していただければと思います。
さて、中途採用のデメリットは採用コストです。リクルート等のエージェントを使うことは有効ですが、採用者年収の30%が手数料が一般的です。確かに安くありません。ただ、成功報酬ですので、手間削減や時間短縮になります。また、数多くの転職希望者が集まっていますので、優秀な人財と出会うチャンスが広がりますので、活用した方が結果的に安かったと感じると思います。
切り札ではないですが、中途採用には「ベテラン」という選択肢があります。定年した大先輩です。大先輩は仕事の基礎をしっかりと身についています。戦力にもなりますし、人脈もありますし、何よりも仕事が確実です。しかも、給与は現役よりは安いです。ただし、長期雇用は体力の限界までとなりますので、若者に比べて短いです。ですので、失礼ながらも知識・経験をいただくことが人財論に取っては、最大の効果になると思います。出来たら、OJTの先生として行動してもらえると嬉しいですね。
新卒採用
新卒のメリットは組織体制の維持、将来の事業拡大のための中核を担うことです。組織体制は、中途採用だけでは管理職だけの組織になってしまい、給与が高い管理職が新人がやるような仕事もしなければなりません。これは人件費の問題もありますが、事業の推進にはそれぞれの適材適所の役割があり、ベテランから新人まで広く活躍の場があり、成り立っています。バランスが悪いと非効率な生産性となるリスクとなります。また、社歴の長い従業員にとっても、同じ仕事の繰り返しで、やりがいを失っていきます。そのためにも、新卒はバランスを取るのに有効です。
デメリットは教育です。時間と教育を投資と考えることが必要です。また、放置しても育ちません。昔は背中をみて育てという感じでしたが、いまは新人を育てる仕組みが必要です。先輩社員が教育担当となることで、お互いの成長になります。
採用で一番大切なこと
採用について記載しましたが、人財は宝であることを忘れてはいけません。「材」ではなく「財」です。会社は一人では何もできません。経営者が思い通りに動かす駒ではないのです。採用したからには、採用した人はもちろんのこと、その家族の生活まで責任を持つということと一緒です。また、一人前になって成功している姿を見たいと思います。しかし残念ながら、このことがわかっていない経営者は、たくさんいます。雇用という素晴らしい行動をしていることを認識し、多くの仲間と一緒に「従業員とその家族の物心両面の幸せ」のため一丸となって健全なビジネスをしましょう。この気持ちが、採用という人財戦略に一番大切なことだと思います。