オムニチャネル時代の販売戦略

オムニチャネル
オムニチャネル時代の販売戦略 ~ECと店舗の親和性は高く、アイデア次第で売上は伸びる~
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小売業にECは必要不可欠

オムニチャネル時代が本格化しています。しかし、店舗で成功している企業はECに弱いという見方もできます。理由は、ECに売上を奪われ店舗の売上に影響すると考えるためです。さらにフランチャイズ展開している場合には、オーナーへの配慮もしなければならず、EC導入を躊躇します。戦略のジレンマです。とはいえ、小売業にとってECはホームページのように必要最低限持っていなければならない時代です。では、本当にお客さまを奪い合い業績に悪影響を与えるのでしょうか?

ECと店舗は本当に売上を奪い合うのか?

オムニチャネルが、売上を奪い合い業績に悪い影響を与えるということを論理的に考えると「パイが限られている」「ショールーミングで店舗売上が減る」「店舗スタッフのインセンティブ」「フランチャイズ・セレクトショップへの配慮」という課題が業績に影響すると思われているからです。では、この課題が本当に成り立つのか考察してみます。

1. パイが限られている?
奪い合うということは限られたパイの中でのことです。そもそも限られたパイの中でビジネスをすることは考えていないはずです。もし、限られたパイの中でビジネスをするということは、レッドオーシャンの中に飛び込むようなものです。
パイは限られているのではなくパイは広げていくもので、コモディティ商品であったとしても商品寿命に応じた買い替え需要があります。つまり、購買は常に繰り返されているのです。衣類を考えるとわかりやすいと思います。子供から大人への成長、季節に応じた服装、場所に応じた服装、流行と購買シーンはたくさんあります。

つまり、オムニチャネルによりECのメリットを活かしてパイを拡大する、買い替え需要を自社に取り込み社内ではなく競合他社から売上を奪います。このようなことが経営判断になるはずです。

2. ショールーミングで店舗売上が減る?
ショールーミングは、同じ商品を安く買う消費者視点の合理的な購買方法です。ネットにはヤマダ電機が苦戦を強いられた記事もみられ、ショールーミングは販売店にとって悪と思われています。他方で、セブンイレブンや資生堂などは、積極的にオムニチャネルを進めています。扱う商品にもよりますが、ショールーミングは悪ではなく正しく付き合うことが求められています。

プライベートブランドであるならば、どこで店舗でもECでも購入されることには変わりがありません。つまり、店舗・ECどちらで売上があってもよいのです。むしろ、ECの方が店舗よりも維持コストは安いですから、収益向上にもなります。
ナショナルブランドは、店舗メリットを最大限に活かした施策となります。店舗メリットとは、店舗スタッフ・実物を見れる・その場で持ち帰れる・バイヤー(商品)です。店舗スタッフは誰にも負けない営業です。購買者に提案し、ご満足していただき購入するテクニックを持っています。これは、残念ながらECでは出来ないことです。また、バイヤーのセンスも大切で、どこにでもある汎用品ではなく、購買者に興味を持っていただける、世の中にあるすばらしい商品を発掘し提供しています。このことにより、ナショナルブランドでありながらも、プライベートブランドのように扱うことができます。これは時間軸も考慮すべき戦略ですが、少なくとも先行メリットの恩恵はうけることができるはずです。

ちなみにヤマダ電機が苦戦した原因を分析すると、家電はどこで購入しても一緒で即時必要な商品でもありませんので安い方に流れます。ヤマダ電機も店舗での安売りを武器にして成長してきました。しかし、他社に取られるということは最安値ではないということになり、いままでの戦略と矛盾が生じてしまっています。では、ヤマダ電機は値段が高いのかといえば安いです。ただ、ヤマダ電機はポイント割引で最安値となるよう調整していますので、表現が難しいことや、ヤマダ電機で常に購入しない購入者にとっては魅力を感じられないために苦戦していると考えます。(ちなみに、ケーズデンキはポイント制度を廃止して、その分最初から値引きする戦略をとっています。)
少し脱線しますが、ヤマダ電機のポイント戦略は、囲い込みとキャッシュフローにメリットがあります。囲い込みはポイントを使おう・勿体無いという心理から次もヤマダ電機で購入することを促します。キャッシュフローは、値引きをポイントとしているため、キャッシュとして入ります。ポイントは引き当てとしますので、全額キャッシュを維持する必要はなく投資にまわすことができます。(ただし法務局への保証金の供託義務があります。)さらに、ポイントは失効すると実質的に値引きしていないことになり収益を助けます。とても理にかなった戦略ですが、オムニチャネルの時代になり、ポイント戦略の見直し時期になっているのかもしれません。

3. 店舗スタッフのインセンティブ?
厳しい見方をすれば、社内制度の問題であり、お客さまには関係ありません。しかし、インセンティブで売上を伸ばしてきた成功事例・成功体験から変化することは難しいことです。
しかし、金銭的インセンティブは一時的な効果でしかないことは、様々なメディアでも取り上げられています。また、金銭的インセンティブ以外に、他店に負けたくないといった気持ちがあります。つまり、納得感のある制度の上で店舗スタッフを評価をすることです。
たとえば、売上目標に対する実績が評価となりインセンティブとなることが多いですが、売上は人口密度・キャンペーン・店舗場所にも影響します。都心のショッピングモールで立地も良い店舗と、地方の駅ビルの店舗とは違うのは当然です。しかも、シッピングモール独自のセールを開催すれば、店舗の施策に関係なく来店が増えます。店舗によって条件が違ってきますので収益で評価が好ましいはずです。都心は売上も多いが、人件費・家賃も高いです。地方は、売上は低い分、人手も少人数で済みますので人件費・家賃も安いです。
それ以外にも、店舗からECへの誘導も販売実績として評価するなどの要因を考慮し、オムニチャネルにあった制度改正をすることで解決できるのではないでしょうか。

4. フランチャイズ・セレクトショップへの配慮?
とても悩ましいと思います。特定のフランチャイズ・セレクトショップを優遇するわけにもいかず、しかも、商品を供給する側としてECによる直販をすることはフランチャイズ・セレクトショップの売上を奪うことにもなり兼ねません。
このような状況で商品を供給する側として考えるべきことは、在庫調整とマーケティングとしてのECがあります。在庫調整は不動在庫の販売です。フランチャイズ・セレクトショップは限られたスペース内で、売れ筋を並べることで坪単価当たりの売上を最大にしようとしています。見方を変えれば、フランチャイズ・セレクトショップで売れ筋ではない商品は在庫となってしまいますので、直販で損失を防ぎます。実は、それ以上に効果的なのがマーケティングとしてのECです。ECは電子カタログの役割も持ち、購買意欲を高めることができます。ECで購入する場合もありますが、購買者心理によりフランチャイズ・セレクトショップへのO2O(Online to Offline)となります。このことにより、好循環が築けます。

ある古物を扱う企業では本部が積極的にECで販売と仕入をしています。理由は、古物においては中古品を仕入れるのが最も重要な施策なのですが、本部で仕入れた売れ筋商品をフランチャイズに流すためです。フランチャイズは仕入れの苦労を緩和できますし、良い商品が流れてきますので店舗の売上に貢献します。つまり、本部のECがフランチャイズを支援しているのです。フランチャイズとしても、自分たちの収益を支援している本部ECを非難することできません。本部の薄利とはいえ、フランチャイズへの販売収益もありますし、フランチャイズが希望しない商品は本部ECで販売し収益としています。

オムニチャネル時代の販売戦略とは?

ここまで読んでいただいたことで、オムニチャネルは、自社の状況・物事を整理して正しく付き合う方法を考えれば売上に貢献することがわかったと思います。もしオムニチャネルに悩まれているようであれば、不確実性が不安となって踏み切ることが出来ていないだけなのです。また、ECはインターネット上で販売するだけではなく貢献の仕方はアイデア次第で広がります。(参考:IT企画が発想のコモディティ化をしていませんか?、 CIOが語る!ITは優秀な社員です。道具と考えると失敗します。
では、オムニチャネル時代の販売戦略を考えます。商品・事業戦略によって違いはありますが、下記のような視点とアイデアによりオムニチャネルの導入効果は高まります。

オムニチャネル時代の販売戦略 ~ECと店舗の親和性は高く、アイデア次第で売上は伸びる~

オムニチャネル時代の販売戦略
~ECと店舗の親和性は高く、アイデア次第で売上は伸びる~

お客さまを共有し、創造する
店舗もECも購買者には変わりません。顧客管理も別々にするのではなく共通化することで、サービスを向上させることができます。

  • 店舗とECで同じサービス・特典を提供する
  • 購買履歴や店舗での購入・各種情報もECと一緒に扱うことで、One to Oneマーケティングに役立つ

店舗とECをつなぐ
オムニチャネルは、ECで販売するだけでなく時には店舗を支援する立場となり機会損失を抑制します。

  • 店舗でカタログを見ながら接客、そのままEC販売もできる
  • リアルタイムに倉庫・他店舗の在庫状況確認し商品を確保できる。後から連絡することなく、その場で商品を確保することは購買者への安心となり、心変わりによるキャンセルをなくせます。
  • 店舗に在庫がなければ、接客しながら自社のECでの販売ができるだけでなく、購買者による競合他社への移動を防止します。
  • EC販売を店舗で受け取る(セブン&アイホールディングスが進めている施策です。利便性だけでなく店舗に寄った際に他の商品の購入機会を増やすことが期待できます。参考:セブン&アイのオムニチャネルを分析する!

店舗のデメリットをECで補う
店舗は限られたスペースであるため、定番商品・売れ筋を中心に品揃えをします。しかし、購買者の嗜好が多様化し品揃えも重要な戦略となっています。その品揃えを補うのがECです。

  • 店舗にはない商品も提案・販売ができる
  • ECには全商品を登録する(店舗への影響を配慮しECへの商品を限定しているところもありますが、ECはインターネット上の旗艦店として捉え全商品を掲載が好ましいと考えます。ビジネスの相手は社内ではなく購買者だからです。)

ECのデメリットを店舗で補う
いまではスカイプなどを利用して補完している企業もありますが、ECの弱いところはリアルな接客です。購買者は納得して購入したいという気持ちもあり、店員スタッフから情報を得る・提案をうけることで納得して購入することもあります。インターネット上のクチコミ・商品説明だけでは足りないことを店舗で補完します。なによりも、人ならではの接客ができます。

資生堂のワタシプラスでは、優秀なビューティーコンサルタントを紹介することで来店を促し新規顧客開拓をしています。新規顧客の開拓ができれば、リピート購入は店舗でもECでも可能となりオムニチャネルが活かされます。(参考:資生堂ワタシプラスにみるO2O戦略の3つのポイント!

ECのコスト

ここで、気になるのがECのコストです。たとえば、R社のECポータル費用は、月額50,000円+売上の2~4%です。たとえば、売上1,000,000円とした場合、売上の3%としても50,000+(1,000,000×3%)= 80,000円です。売上に対する8%です。
商品の利益率にもよりますが、損益分岐点は高くはないと思います。仕入値、販売管理費、人件費などを考慮しても十分に採算は取れます。

もし規模がそれなりにあるのであれば、自社でECを持つ場合もあります。ただし、インフラだけでもデータセンター、回線費用、監視、保守、運用などがあり最低でも月額数百万は必要で決して安くはありません。新規でハードウェアを揃えるなら、さらに初期費用に数千万は必要です。また、実際にEC事業をしていた経験から、深夜・休日問わずの障害対応、キャンペーンなどの一時的な徹夜での監視対応など、ECを維持するための体制も大変な仕事です。
いまでは、ECのクラウドサービスの方がコストが安く、自社からクラウドへシフトすることもコスト削減・安定稼働・社内体制の健全性という観点からも選択肢となっています。

まとめ

オムニチャネルは、(なりふりかまわず)販売することです。ECは、物理的(全国・全世界)・時間的(24時間365日)な商圏を広げ、機会損失を最小化します。オムニチャネルは、業績に良いことはあっても悪いことはないのです。ECは、インターネット上に無限に広くお客さまが瞬時に自由に行き来きできる旗艦店です。ECに取り組まないことは機会損失となり、本来の収益を捨てていることになります。
もし、ECを未導入であるならば、早々に取り組むべきです。また、既にECを導入しているが、売上に貢献していないようであれば、これを機にオムニチャネル・ECを見直すことをおすすめします。時代の流れは速く時間軸も戦略に重要な意味を持つからです。

オムニチャネル・ECにご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。(お問合せはこちら

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