【連載】マーケティング部門へのヒアリング

どうやってサービスを売る?

マーケティング部門へヒアリングをした。

本社マーケティング部門
全社共通キャンペーンを企画している。たとえば、プレゼント商品の開発や、全社割引キャンペーンなどである。また、チラシ作成もしてこ全社に配布している。だから、キャンペーン企画を管理する機能が必要と力説した。また、キャンペーン効果を把握したい。いままでは、キャンペーン実施期間の売上と、キャンペーンを実施していない期間の売上の差を効果としているが、もう少し厳密にしたい。また、もっと分析をしてキャンペーン企画を立てたい。そのための機能が欲しい。
あと、困っていることとして、店舗がキャンペーンを知らなかったと逆ギレされることがあります。企画しても、店舗独自キャンペーンと企画内容や期間が重ることもあり、困るとクレームを言われるので、何とかしたいです。

山田マネージャー/佐々木マネジャー
ありがとうございます。店舗とコミュニケーションミスをしているようですので、キャンペーン管理できる機能と、効果測定を中心に検討することにします。

キャンペーン管理

山田マネージャー/佐々木マネジャー
キャンペーンについてお聞きします。もう少し具体的に気になっていることは何でも教えてください。

本社マーケティング部門
マーケティング部門は、毎月の売上目標もあるが、四半期毎の全社マーケティング会議で評価されます。ですので、キャンペーンで四半期毎の売上目標達成をするような施策をしているのは事実です。しかし、キャンペーンは季節物の在庫処分も兼ねているので、継続して実施する必要はあります。また、お客さまはキャンペーン時期には安いことがわかっているので、キャンペーン以外の時期にだけ来店する顧客もいますので無視はできないのです。
とはいえ、当然、キャンペーンをするとその時の売上は大きいのですが、社内からはキャンペーンで売上を作るとコストがかかる。もっと効果的な売り方はできないかと声があがっている。

D社小林
少し失礼します。商品との関係性についてコメントした。皆さんが言われるキャンペーンは、販促です。視点をマーケティング視点としてみましょう。たとえば、通年売れる商品、新商品、季節性・流行のある商品でわけて考えてみましょう。ようは、キャンペーン対象と値引率を商品単位で管理するのです。つまり、販促・価格・商品・店舗の立地というマーケティング4Pの視点で、総合的に考えてみるのです。
(D社小林の心の声:ブランディングもあるが、これは後日としよう・・・。)

本社マーケティング部門
なるほどですね。単純にキャンペーンで値引きすることだけを考えていましたが、効率的な売上向上ができるかもしれません。一度、持ち帰り部内で検討してきます。
また、インターネットを使ったマーケティングをもっと使いこなしたいと思っている。ソーシャルメディアのアカウントは取得しているが、更新が不定期で効果があるかわかっていない。アクセス者にフォローすることができれば、顧客獲得・リピーターにつながることがわかっていても、動けていない。

D社小林
詳細は別途相談しましょう。ただ、ソーシャルメディアの運営を維持するのは大変ですので、担当を決めるべきです。いまは、マーケティング部門だけではなく、全社で出来る人が実施することになっていますので、マーケティング部門が責任部門となり、主導することは必須です。マーケティング部門が責任部門となることを検討していただきたい。

本社マーケティング部門
承知しました。こちらもマーケティング部門の会議で承認と、担当者を決めたいと思います。

山田マネージャー/佐々木マネジャー
今期からECの売上も重要視されるようになりました。いままでは、店舗中心で、ECには不向きなキャンペーンもあり、店舗だけのキャンペーンもありました。しかし、今期からはお客様には店舗でも、ECでも同じキャンペーンを適用することが基本となりました。どのように考えていますか?

本社マーケティング部門
正直いえば、店舗もECも同じお客様ですが、管理が違っていて共通になっていません。お客様の台帳には、店舗とECと同じお客様が登録されていることは容易に想像ができます。キックオフでも話しがありましたが、顧客視点でのキャンペーンを考えなければとは思っていますが、いままでの発想を変えるのは難しいです。
まだ議論されているわけではありませんが、S社共通会員証の発行・共通ポイントサービスは必要だと思っています。悩みは、店舗とECで経費の掛かり方が違うということです。つまり、キャンペーンの販促費をどのようにすれば良いかということです。店舗は、店舗家賃・人件費が中心ですし、ECはシステム維持費とネット広告費用です。ネット広告は店舗にも少なくとも影響はしますが、ECでの購買を誘導するものですから、EC経費として計算しています。
また、商品の陳列も違います。店舗は限られたスペースで機会損失を最小にするように心がけていますが、ECは取り扱い商品はすべて陳列できます。在庫の有無はありますが、お目当ての商品が見当たらないことによる機会損失は少ないでしょう。でも、店舗は店員がフォローできます。このように、それぞれに特徴があり、どのように整理していけばよいか悩んでいます。

山田マネージャー/佐々木マネジャー
ですよね。D社小林さんにも同席していただき、第二回のヒアリングで、この議題についてディスカッションさせてください。

効果測定

本社マーケティング部門
効果測定は、キャンペーンコストが見合っているかの確認をしている。しかし、厳密な算出は現実的ではないので、キャンペーン実施期間の売上と、キャンペーンを実施していない期間の売上の差を効果としている。でも、最近になり、本当にこれでよいのか疑問に思ってきている。

D社小林
厳密は効果測定は難しい。変数が多く現実的ではないのは事実です。ですので、変数の再定義をしましょう。また、効果測定に限ったことではなく、データから新規顧客・リピーターにつなげる分析も対象として検討することにしましょう。