【連載】プロジェクト計画書の作成開始

連載
プロジェクト計画書の主な目次と策定の流れ ~作成過程で必要なアクション~

プロジェクト計画書の主な目次と策定の流れ
~作成過程で必要なアクション~

企画書を作成する

取締役会、経営会議でオムニチャネル戦略を推進するプロジェクトを発足させることは決定したが、どのようなプロジェクトとして実施していくかについてはプロジェクト計画書を策定して決定することになった。山田マネジャーと佐々木マネジャーは、D社小林がサポートのもと、プロジェクト計画書を作成することになった。

(山田マネジャー)プロジェクト計画書には、システム構成図、投資額、スケジュール、体制図が必要です。

(佐々木マネジャー)マーケティングについても必要で、WEBマーケティング、ソーシャルメディア、雑誌などへの投資について記載すべきと思う。

(D社小林)どれも記載すべきだとは思いますが、誰に説明する投資計画か考えてみましょう。どうも二人の考えていることは「自分たちの整理資料」のようです。伝える相手は経営陣ですので、経営陣が求めていることを記載しなければなりません。

(山田マネジャー)たとえば、システム構成図は必要ないのでしょうか?

(D社小林)システム構成図は大切ですが、妥当性の判断が出来るのは、渡辺COOだけだと思います。計画書には最後に参考資料として入れましょう。マーケティング施策も一緒です。経営陣が期待しているのは、細かい施策ではなくもっと大きな視点で捉えた戦略レベルです。

(山田マネジャー)そうですね。ありがとうございます。投資について教えてください。投資の戦略レベルというのは何ですか?

(D社小林)経営陣は投資対効果が判断になります。たとえば、1億の投資をしたら、いくらのリターンが見込めるかということです。1億円の投資で、人件費、プリンターや事務用品の購入額が削減される金額をシミュレーションします。売上は、販促効果でシミュレーションします。そして大切なのは、投資対効果がプラスになる期間です。

(山田マネジャー)投資対効果がプラスになるには何年もかかると思いますが、それでも良いのでしょうか?

(D社小林)短いほど良いのですが、最大でも3年以内が好ましいでしょう。それぞれ考え方がありますが、IT投資の減価償却の期間が5年だからです。つまり、それだけの年数がたてば、そろそろリニューアルを考えるという時期でもあると言われていると等しいと考えます。なぜ、5年ではなく3年かといえば、プラス効果が思ったよりも伸びなかったときのリスク、そしてビジネスの変化が激しい中で5年も同じITを使い続けるのはビジネスリスクでもあります。ですので、ざっくり2年分をマイナスして計算しています。

(山田マネジャー)ありがとうございます。でも、投資額はベンダーに見積もりをしてもらわないとわかりません。RFPを作成して見積もり依頼をしなければなりません。また、効果測定はどうやってすれば良いでしょうか? シミュレーションするということはわかりますが、設計をしないとシミュレーションする条件がわかりません。

(D社小林)プロジェクト計画書では、正確な金額は不要です。企業によっては正確な金額を求めるかもしれませんが、要件定義をしてみないと正確なことを言えないのは現実です。ですので、企画書には概算として予算確保という考え方で良いと思います。ただ、注意すべきは概算が独り歩きします。つまり、概算金額が投資の最大額になると思ってください。

(山田マネジャー)リスクを考えて多めの金額としたいですね。

(佐々木マネジャー)そうしたら、投資の効果も大きくしないといけない。得られる見込みの無い効果を記載しても、経営陣に突っ込まれるだけだから、現実的な投資額にするしかない。

(山田マネジャー)シミュレーションですが、現状と新しい業務との比較となりますが、新しい業務は決まっていません。どうやってシミュレーションすればよいのでしょうか?

(D社小林)シミュレーションするには、導入後の新しい業務が描けていなければなりません。しかし、これからのことですから、シミュレーションできないと思いかもしれませんが、そうでもありません。プロジェクトメンバーが、ゴールを想像をすることで可能になります。詳細度合いはありますが、なんとなく皆さん想像しているはずです。オムニチャネルを導入して、いまの業務がどうなるか心配しているのも、その一つです。このプロジェクトは、これから作り上げることですから、いまの課題が解決するためのチャンスと捉え前向きに考えます。そうすれば不安から期待に変化します。そして期待する業務が新しい業務になると仮置きをしてシミュレーションするのです。プロジェクトメンバーと議論してもよいのではないでしょうか。

(山田マネジャー)わかりました。まずはゴールを描いてみます。

山田マネージャーと佐々木マネージャーは、D社小林から「ゴールを想像してください。全ての仕事に関係することですが、ゴールの姿が見えていなければ成功することは難しいです。そして、お二人が作成しようとしている計画書はゴールまでの道筋です。ゴールが見えていなければ、彷徨うことになってしまいます。」と助言に従って、プロジェクトメンバーをゴールを想像することにした。

プロジェクト計画書を作成するために最初にやるべきこと

プロジェクト計画書を作成するために最初にやるべきことは、ゴールを描くことです。このプロジェクトを通して、プロジェクトメンバーがやりたいことは何か?、どうなりたいのか?、しっかりと描く必要があります。
ゴールを描くということは、大小ありますが、皆さんは日頃からやっていることです。たとえば、通勤もその1つです。始業時間までに会社にたどり着くまでに、遅延を考慮して何時の電車に乗れば良いか?、乗り換え場所を考慮してどの車両に乗ればよいか? 等々、想像しています。そして、最初は想像と違っていても、学習して理想に近づけていきます。プロジェクト計画も一緒で、最初は想像の範囲でゴールを描き、プロジェクトメンバー、上司、会社の仲間と議論していき、ゴールを細部まで描くことが大切です。

プロジェクト計画書の主な目次と策定の流れ ~作成過程で必要なアクション~

プロジェクト計画書の主な目次と策定の流れ
~作成過程で必要なアクション~