【連載】ゴールを想像して描く

連載

ゴールを想像する

山田マネージャーと佐々木マネージャーは、D社小林とのディスカッションで「ゴールを想像してください。全ての仕事に関係することですが、ゴールの姿が見えていなければ成功することは難しいです。そして、お二人が作成しようとしている計画書はゴールまでの道筋です。ゴールが見えていなければ、彷徨うことになってしまいます。」の助言に従い、「お客様の期待に応える」の発想を忘れないことを認識合わせをしたうえで、プロジェクトメンバーとゴールを想像することにした。ステップ別に導入していくことになっているが、この場では意見交換として範囲を特定せずに話をすることにした。

(山田マネージャー)最初は店舗、ECの想像から始めたいと思います。自分が所属する部門以外の人も好きなように意見を言ってください。

(中村マネージャー)わたしは店舗を担当しています。店舗で困っているというか、課題を話します。店舗では、店舗毎にDMを発行していますが、他店舗で発行したDM(ダイレクトメール)についている割引券を持ってきました。DMには、川崎店のみ有効と記載されていますが、横浜店で使おうとしていました。最初は使えないことを説明しますが、お客様によっては同じS社でしょ。と言って、要望されます。そのときは店長判断で割引をしています。横浜店は旗艦店ですので、このようなケースは多くあるようです。もう一つは、キャンペーンの案内をしていますが、どうも埋もれてしまっているのか、宛先ミスをしているのかわかりませんが、伝わっていないようでした。キャンペーンをしているにも関わらず、他社にお客様を奪われてしまったケースがあります。これを無くしたいですね。

(山田マネージャー)ありがとうございます。では、中村マネージャーの話について意見交換させてください。

(佐々木マネージャー)いままで、お客様の管理は店舗で実施していましたが、全社で一元管理をしてキャンペーンも店舗と連携して本社が実施してはどうでしょうか?

(中村マネージャー)それはいいですね。全社キャンペーンもできるようになるしね。ただ、店舗毎に売上目標があり評価基準となっています。値引きは売上にならないから、他店舗のキャンペーンで値引きされることを嫌います。

(山口マネージャー)財務・人事・総務の代表の山口です。キャンペーンは利益を下げるだけだから、キャンペーンで売る考え方を変えて欲しい。

(佐々木マネージャー)キャンペーンをしないと売上目標の達成は難しい。競合他社もやっていて、やらないと、お客様を奪われる。

(山口マネージャー)ゼロにしろとは言っていない。もっと効果的なやり方があるはずだ。うちの会社は、経営管理で効率的な経営で1店舗からここまで成長してきた。だから、同じ発想でキャンペーンを効果的にできるはずだと思う。

(佐々木マネージャー)このプロジェクトで、経営管理の見直し、もっと使いこなせるようにしても良いかもしれない。あえて、シンプルにするとかね。

(山田マネージャー)店舗の評価については、難しい課題ですので、渡辺COOへの相談課題としましょう。キャンペーンはプロジェクト課題として管理します。あと、流通はどうですか? なんでもありですので、ぶちまけてください。

(加藤マネージャー)流通は、特に問題はありません。創業当時から経営管理を基盤にしていたので、計画的に動けています。あるとすれば、これからECを本格化して事業の柱にすると聞いているので、発送業務がどのくらい増えるのか心配しています。

(伊藤マネージャー)仕入担当ですが、役割は2つあります。1つは、バイヤーとして新しい商品を探すこと。もう1つは、発注業務です。組織の殆どが全国に飛び回っています。発注業務は手が回らないので、派遣さんにお任せになっています。ただ、社員でないと判断できないことがあるので、都度対応しています。結構あります。在庫切れにならないように流通と連携していますが、たまに急な在庫切れになることがあります。キャンペーンが乱発しているときは、在庫切れの危機に陥ります。

それ以外にも多くの意見が出てきた。判断できないため渡辺COOへ課題とすべきことも多々あったが、大きな課題は見えてきた。
各部署からの意見をまとめると、主なポイントは以下のようになった。

  • 顧客は一元管理し、店舗・ECで活用する
  • 効率的なキャンペーンができること
  • 経営管理を見直し、活用する
  • 適正在勤での管理ができること
  • 社内の情報コミュニケーションができること
  • 仕入先へ発注できること

山田マネージャーが、まとめをラフな図を作成した。

【連載】ゴールを想像して描く

【連載】ゴールを想像して描く


渡辺COOとD社小林にレビューしてもらうことにした。主なポイントは、会社全体として課題があることが認識できた。企業が成長するにつれ、各業務が忙しくなり人財を増やしていくが、業務は属人的に広がり全体最適化よりも、目先の業務を優先させているので、仕方がないことである。なにかしらのきっかけがありプロジェクト化しなければ、見直す機会がないのが現状である。渡辺COOは、このプロジェクトは、良いきっかけになると思っていた。渡辺COOからは、基本的にはプロジェクトメンバーが考える想定をゴールとして検討するようにした。幾つかは指摘する容もあったが、プロジェクトを通じて自分たちで気付いて欲しいと思い、細かい指示はしなかった。また、各店舗・ECの売上目標の課題は、公平になるように売上計算のルールを見直すとことを約束した。

ゴールをRFPにする

D社小林から、プロジェクト計画書に記載する概算の考え方についてアドバイスがあった。「まずは、自分たちでも概算を算出してください。並行してゴールをまとめた資料をRFPとしてベンダーからも算出してもらってください。これは、投資金額の確認と、ベンダーの妥当性を確認するためです。もうひとつは、効果測定をしてください。ようは、この投資でいくら儲かるかで、投資額の妥当性を確認します。いくら儲かるかわからないと思うかもしれませんが、シミュレーションをして計算してください。」
また、情報システム部門で、リニューアル対象と、既存システム改修で対応するか調査をして決めてください。ポイントは、ゴールのイメージにする場合、どちらが投資を抑えることができるかで、決めてください。

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