インテルのCM効果
製造業の基本は企業間取引です。製造業は消費者向けにプロモーションすることは少ないですが、以前にテレビCMでインテルのCMを見たことは記憶にあると思います。「インテルはいってる」というCMです。これは、インテルをブランド化することを目的としたCMで、NECや富士通などのパソコンメーカーとタイアップしていました。このCM効果は、消費者向けパソコンにおけるインテルCPUのシェア向上ということだけでなく、NECや富士通などのパソコンメーカーに高値でCPUを卸すことができます。構図的には、CM効果で消費者はインテルのCPUが入っているパソコンの購入を求めます。つまり、パソコンメーカーはインテルのCPUを搭載しなければパソコンが売れないということです。となれば、インテルはCPUを提供する川上でありながら、立場は強くなります。これが、インテルのCM効果です。
ただ、このCMには莫大な予算が必要です。大企業ならではの施策です。では、中小企業の製造業は、どうすれば良いかといえば、比較的安価で効果が見込めるWEBマーケティングをすることです。インテルと同じ成果をだすことは難しいですが、製造業がインターネットで情報発信することは、マーケティング戦略次第で、企業だけでなく、消費者にも伝えることで効果が見込めるということです。
引合いは様々なところに存在している
製造業のe(WEB)マーケティングの取り組みとして、ホームページは存在するが、eマーケティングに対してはSEO対策レベルで実際には手を付けていないのが現実ではないでしょうか。
ホームページは大切ですが、それだけでは無数にあるサイトの中に埋もれてしまうだけです。ホームページ以外にも、積極的に様々なWEBコンテンツを利用することで総合的に効果が期待できるように取り組まなければなりません。たとえば、中小企業向けのビジネスマッチングサイトがあります。有料サイトもありますが、中小企業庁は無料で提供しています。中小企業庁だけで良いわけではありませんが、利用しないよりは利用した方が経営に貢献するはずです。そして、インバウンドマーケティングは最も実施しなければならない施策です。(参考:インバウンドマーケティングに学ぶWEBマーケティング)
eマーケティングを実施する意味は、たとえば、最近流行の3Dプリンターで、消費者が個人事業となり取引先になることが出来ます。オリジナルのフィギュアを造り、アマゾンや楽天などで販売することが出来るからです。もちろん、自分でECを持っても良いです。まだ3Dプリンタは高価です。もし3Dプリンタを持っている(もしくは購入する)なら、1体単位でフィギュアの製造を請け負うことも出来ます。1体だけでは利益は少ないですが、多くの個人事業主を集める、消費者からの直接受注も出来ます。そうすれば、立派なビジネスとなります。需要が見込めれば、デザインが得意な個人事業やデザイナー会社を提携をして、オリジナル商品を製造・販売することも出来ます。
では、具体的には何をeマーケティングで伝えれば良いのでしょうか?
3Dプリンタを持っています。ということは当然ながら、個人事業主や消費者から受注を集めるには「何が出来るのか?、品質は?、耐用年数は?、納期は?、等々、取引先が気になること」を伝えます。「出来ます・安い・早い」だけでは売れない時代です。ましてや、フィギュアは品質が重要ですので、一般的な内容では伝わりません。お客さま・エンドユーザーとなる相手の気持ちになって、何を伝えるべきか?、この製品を手にすることでどのような気持ちになれるのか?、どのような体験が出来るのか? 等々です。お客さまが製造コスト以上の価値があることをイメージできるように伝えることです。
結果的に、お客さまを創造することが出来ます。取引先を待つのも1つの選択肢ではありますが、自ら何事にもチャレンジをして動かなければ、結果は出ません。
たとえば温泉旅館で外国人向けサービスを導入する経緯を考えてみる
たとえば、東京オリンピックも決まり、また日本の田舎の風景や日本文化が外国人に人気になっているので、私たちの温泉泉旅館にも外国人のお客さまを取り組むことを検討したい。そこで、外国人が喜ぶサービスを検討することになったとします。
まずは外国人の好む事柄を調査します。たとえば「ドーナツ好き・ヘルシー志向・日本食はヘルシーと思っている」ということがわかり、豆腐を使ったヘルシードーナツの提供を取り組むことにするとします。1つの温泉旅館だけではなく、協会として取り組むことで温泉街全体として外国の方に喜んでいただけるのなら、地方創生にも貢献します。
では、実際に製造を相談する検討に入るわけですが、どの企業に相談をすれば良いのか調査することになります。一般的な製造企業のホームページでは、会社案内や取引先や業界に詳しい人にはある程度は理解できるかもしれませんが、誰もが見てもわからない内容であることがほとんどで、どこに相談したらよいのかわからない。ということを感じていると思います。しかしながら、上図にあるZ社のように丁寧にいろんなことを発信していれば、この企業に相談しよう!という気になりますし、豆腐ドーナツが現実的な案であることがわかります。これが、インバウンドマーケティングであり、製造業のeマーケティングです。発信する情報は、他社との違いを伝える価値であり、ブランディングとなります。
このことは、一般的な広告とは違います。広告ではホームページや一過性のキャンペーンしか表現できないのが実態です。そうではなく、発信する情報は企業をブランディングする価値あるものとして取り組むことで、効果が期待されるものになります。
いろんな創造のパターンはある
3Dプリンタだけではなく、いろんなパターンが考えられます。たとえば、観光地で販売するお土産を開発して、お土産屋さんに供給することも出来ると思います。乳製品が得意・製造した製品のおいしさ・何故おいしいのか?・公正マークの認定検査を受けている・ISO取得、等々伝えるべきことは多数あります。また、業者向け洗剤を製造して企業であれば、洗剤の成分・他製品との違い等々を伝えることで、クリーニング店の開拓も当然ですが、卸業者の開拓にもなりますし、場合よっては大手小売りから消費者向けの製品を製造依頼の提案もあるかもしれません。それ以外にも、想像力を活かせば無限にパターンは広がります。
皆さんは、製造するということに経験と知恵がある人たちです。この経験と知識は財産であり、世の中に必要としている人はたくさんいます。まだ、巡り合えていないだけです。ですから、自社の存在をしっかりと知ってもらえるようにインターネットを使って伝えることが必要なのです。ホームページだけではなく、自分たちのことを広く世の中に伝えることで、お客さまを創造することが出来ます。