個人事業・スモールビジネスが大型スーパーにも勝る価値とは?

商店街の現状

よく地方のさびれた商店街の話がドキュメンタリーとして紹介されます。確かに商圏の人口が減れば、避けることのできないことです。また、商店街の衰退には大型スーパーにお客さまを取られる事例もあります。大型スーパーの建設を反対し、ある意味セーフティネットを築くことで店舗を守ろうとする光景がニュースになります。これが、お客さまの為であるなら応援したいと思います。ただ、自分を守るだけであるなら、お客さまは離れていってしまいます。商店に厳しいコメントかもしれませんが、商店も大型スーパーに負けない事例も多数あります。

商店街の成功事例

東京都江東区に砂町銀座商店街という商店街があります。ちょくちょくとバラエティー番組でも取り上げられています。近くには、大型のアリオがあり、少し歩けば大型イオンもあります。全盛期に比べたら衰退していますが、大型ショッピングセンターに囲まているにも関わらず活気ある商店街です。昔からの老舗もあれば、新店舗もあります。最近では、リアカーで、あさりを販売していたおばちゃんが、いまでは店舗を構え家族総出でお店を運営しています。アメリカンドリームではないですが、砂銀ドリームです。魚屋さんが経営する寿司屋は、ネタが新鮮で大きく、しかも安く提供していますので、いつも大行列です。

成功の秘訣

成功の秘訣を分析してみると、魅力ある店舗と組合による組織と考えられます。当然ながら、個人商店が個々に努力をしていますが、商店街組合としても、お客さまを呼ぶ努力をしています。毎月10日はバカ値市で商店街のほとんどのお店が、看板商品を安売りします。また、砂町銀座商店街が地元の人に聞くと、イオンやセブン&アイは値段が高く質が悪いといいます。
商店は、自店舗の商品に対して選択と集中をしています。魚屋であれば、品質と安さでスーパー以上の商品を提供しています。お惣菜屋さんも、安くて美味しいです。なぜ実現出来ているかといえば、独自の仕入れルートがある、自前でお惣菜を料理しているといったスーパーとは違う強みがあります。スーパーは、大量仕入で、安く買い叩くのが基本です。また、食の安全性も大切ですが、利益の追求が全ての前提条件です。馬鹿にならない間接費も上乗せされますから、価格を抑えるためには品質を犠牲にしている部分もあるのではないでしょうか。商店街は、このスーパーにはできないことを強みとしています。また、組合があることで1か所で商品が揃うスーパーと同じ効果を、複数の店舗で成り立たせています。つまり、組合がスーパーの強みを補完し、それぞれの店舗の強みが商品1つ1つで差別化しているのです。
こうなれば、お客さまは当然ながら商店街で買い物をします。

ポイント!

個人経営の店舗の場合、良い商品を提供していても必ず成功し続けるとは限りません。お客さまは、常に高品質で低価格の商品を選ぶ思考があります。大型スーパーも自前の畑を持ち、商品開発をして、お客さまの思考に少しでも近づこうという努力をしています。現段階では、砂町銀座商店街を超える施策は難しいようですが、資金力のある大企業は資金力という切り札があります。これから、どんな手を打ってくるかわかりませんが、個々の店舗には絶対的な強みがあります。この強みを磨ぎ、地域が一体となってお客さまを誘致することができれば、大型スーパーに負けることはないと思います。