IT経営を考える

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IT経営とは?

経済産業省によれば、IT経営とは「IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。」また、「多くの企業では、経営、現業及びITの各領域が有機的連携をしない、若しくは、現業とITは好循環を維持しているが経営との間が分断している、などの悩みに直面しています。経営とITの好循環確立に成功した企業を見ると、赤字化・合併等の事象を引き金に経営主導で取組を始めた例が多くなっています。しかし、引き金となる材料を自発的に得られる企業は現実的には少なく、全体の底上げに向けた対策が急務です。」とあります。

ようは、企業におけるIT投資はIT化することが目的ではなく、自社のビジネスモデルとの整合性を取ることが重要で、多くの企業で実現できていないといえるのではないでしょうか。このことは、多くの企業の皆さんも、IT投資をしたが期待よりも低い効果しか得られていない経験をされていることからも理解できるのはないでしょうか。では、何故、IT経営がうまくいかないのでしょうか?

何故、IT投資の悩みが尽きないのか?

結論から言えば、IT経営(投資)が実現できない根本的な原因は、ITをマネジメントしていないからだと考えます。残念ながら、このことを理解している人と出会ったことはありません。不思議なもので、人や組織はマネジメントするのに、ITはマネジメントされていません。ITは、構築プロセスのプロジェクトマネジメントはされるが、構築後の運用(投資対効果)についてのマネジメントは聞きません。背景には「ITを道具と考えている」からかもしれませんが、ITは決して道具ではありません。(参考:CIOが語る!ITは優秀な社員です。道具と考えると失敗します。
このITマネジメントですが、「IT投資のマネジメント」「ビジネスプロセスと情報の流れの整合性」「全体最適化と個別最適化の両立」「パートナー企業との関係」の4要素があります。では、ITをマネジメントするとは、どのようなことか説明していきます。

IT投資のマネジメント

ほとんどの企業でIT投資をする際に、業務の非効率性が発端となりIT投資を検討しているかと思います。非効率性は良くないものですから、間違えではありません。しかし、IT投資の候補の中から本当に優先的事項として検討されているでしょうか。
たとえば、経営戦略が売上倍増を目指しているときに、売上のための施策より、業務効率化(経費削減)を優先していませんでしょうか。売上が順調に伸びている状況なら経費削減すべきかもしれませんが、もし売上目標が苦戦しているようなら、売上に貢献する仕組み(営業支援、ECなど)に投資をすべきです。利益は、売上から経費を引き算した結果ですが、いくら経費を削減しても給与や家賃・光熱費等の限界があり、利益を得るためには売上を優先的に確保しなければならない時もあります。社内の声ではなく経営戦略目線で、財務諸表の事実を見ながらIT投資を検討すべきです。
このことは、戦略マップ(キャプラン・ノートン)の情報資本レディネスでも述べられています。簡単にいえば、戦略マップで「内部プロセスの視点」「学習と成長の視点」を満たすために必要なIT投資をリスト化し「優先順位」を決めて投資をすることです。(補足:IT投資ポートフォリオもありますが、これは大企業向けでIT投資効果を最大にするために、金融投資と同じようにポートフォリオを取るべきであるというものです。中小企業の場合、そのような投資の余裕はありませんので、割愛しました。)

ビジネスプロセスと情報の流れの整合性

経済産業省は、ビジネスモデルと表現しています。ビジネスモデルとすると、収益構造とイメージされるかもしれませんので、イメージしやすいように「ビジネスプロセス」と表現します。ビジネスプロセスとは、ビジネスモデルを実行する業務プロセスのことです。たとえば、セレクトショップの場合は、ビジネスモデルは仕入販売となりますが、ビジネスプロセスで考えると、仕入、在庫管理、店舗管理、顧客管理、ピッキング、物流等々と、様々なプロセスを経て仕入販売が成り立っています。このプロセスをビジネスプロセスと呼ぶことにします。

ビジネスプロセスは、経営の人・金・物・情報の流れです。ITを設計するには、ビジネスプロセスを理解しなければならないということです。よくパートナー企業にIT構築を依頼する際に、必要最低限のことだけを伝える企業がありますが、これは効果を下げるマイナス要因でしかありません。前後プロセスとの整合性など、IT構築する目的に加えて役割も理解しなければならないからです。しかしながら、(このような仕事はパートナーとは呼べませんが)パートナー企業のほとんどは、このことに疑問を持たずに言われたことだけを開発することをします。本当のIT構築は、志があり経験豊富で知識のあるパートナー企業でなければ、厳しいのが現実です。

また、ビジネスプロセスを知らなければ、次に述べる個別最適化や全体最適化の設計をすることもできません。
たとえば、工業用部品を受注製造販売している企業があったとします。営業が頑張って受注した情報をもとに工場は製造を開始します。まず、工場にとっては受注情報がなければ、製造することは出来ません。製造は、生産管理にて管理できるようにします。営業は納期確認、調達部門は受注や在庫から資材の調達をします。製品が出来たら、お客さまへ納品します。出荷情報、売上処理も必要になってきます。このように、各組織が重要なプロセスを担い、仕事をしています。この流れに沿って、情報も円滑に流れいくことは、仕事には必要なことです。仕事は、情報を処理(判断)をして行動します。つまり、適切な情報は仕事を適切にします。

このことを理解して、IT構築することはとても重要な意味を持ちます。自社のビジネスプロセスを知っているようで、実は聞かれると答えられないものです。是非、この機会にビジネスプロセスを再確認してください。

全体最適化と個別最適化の両立

他の記事でも記載していますが、ITの全体最適化と個別最適化の両立です。ITを導入しても効果が上がらない理由は、この全体最適化は無視され個別最適化のみが検討されているからです。全体を意識せずにIT構築をすると、他システムとのデータ整合性がなくなってしまい、データ連携が途切れ、情報の伝達が行き渡らないということになってしまいます。これが、IT投資をしたのに、2重登録などの面倒が増えたと不満へと変化していきます。
また、逆に全体最適化のみの場合は、業務改善でプロセスの見直しをした場合でも、全てのITを入れ替えなければなりません。これでは、IT投資が大変です。必要なところだけでメンテナンスが加えられるようにしたいと思うはずです。つまり、個別最適化と全体最適化の両立が重要ということです。後からでも出来る方法論はありますが、最初から検討した方が無駄な投資も無くなります。

オムニチャネルも売上をあげるための施策として考えられたものですが、在庫管理や顧客管理、物流に至るまでデータは流れていきます。これが、個別最適化で全体最適化されていなかったら、ECで受注したとしても出荷までに3日かかるかもしれません。データも何重にも登録が発生したり、締め処理がなければ次に進まない等々、聞いたことがあるキーワードなのではないでしょうか。また、結果的に不良在庫も多数発生してしまうかもしれません。このようなことは、当初は誰も予想していなかったことで、殆どの人は無意識に全体最適化されているものと解釈しています。しかしながら、システム開発企業に丸投げをしていたら、個別最適化になってしまうでしょう。また、違うと文句を言っても仕様変更と追加費用を要求されるかもしれません。

個別最適化と全体最適化の両立は、アーキテクチャー論になります。専門知識も必要ですから、情報システム部門がマネジメントしなければなりません。ITパートナー企業と連携して個別最適化だけではなく、全体最適化の視点も盛り込まなければなりません。実は、ちょっとした設計の決め事ではあるものの、このことを理解しているIT業界の人はいません。

パートナー企業との関係

パートナー企業を下請け業者として丸投げをしたら、ITマネジメントは期待できません。
下請けとは、信頼関係です。相手を信じることをしなければ、何事も成功しません。契約を結ぶ際、相手を信用し一緒にIT構築することを腹に決めたはずです。途中には、紆余曲折あるかもしれませんが、相手に責任を押し付けるのではなく、何かしら自分たちにも責任があるはずですから、一緒に前向きに乗り越えることを考えることが重要です。最後まで信頼し続けることです。感情だけで仕事をしてはいけません。

丸投げとは、パートナー企業のプロジェクト管理をすることではなく、仕様・アーキテクチャー含めて理解し、間違いがあれば適宜指示することです。何故なら、最終のIT効果に責任を持つのは自分ですし、全体最適化や個別最適化をマネジメントするのも自分だからです。それは、パートナー企業の仕事であるとの意見もあるかもしれませんが、IT構築後にパートナー企業が作ったのでブラックボックスということになってしまいます。よく聞く話だと思いますが、原因は丸投げをしたからなのです。このことは、採用面接でパートナー企業との仕事の仕方を質問させていただくことがあるのですが、ほとんどの人が丸投げの発想でした。理解されている人は少ないと思います。

IT経営を考える

言われてみれば納得することも、出来ている企業が少ないのが現実です。だから、経済産業省の警告を鳴らしているのかもしれません。そうならないためには、このことを理解している信頼するパートナー企業と、情報システム部門(なければ経営陣)と連携を図り、推進することが重要です。ITは構築して終わりではありません。情報システム部門は、IT投資の効果をだすことが仕事ですから、投資対効果が下回っていたら、何かしらの原因があるはずで、取り除くことをしなければなりません。また、市場や時代の変化により、ビジネスプロセスにも影響があり、整合性が取れていたものが不整合に変化していきます。常にビジネスプロセスと整合を取る、カスタマイズも実施しなければなりません。

情報システム部門が存在しない、まだ経験が浅いなどの問題を抱えている企業の場合は、パートナー企業を情報システム部門として位置づけることも1つの方法です。但し、社員より割高の費用になる。社内にノウハウが蓄積されないデメリットはあります。しかしながら、変動費(必要なときに必要なだけ)として扱えるので、総合的に見たら割安になる場合もあります。社内にノウハウを蓄積するより、末永くパートナー企業に委託することで、常に高度なノウハウを提供して貰えるというメリットもあります。また、情報システム部門が既にあり、ノウハウを高めたい場合も、パートナー企業を都合の良いように利用することも有りです。

参考文献 経済産業省 IT経営とは?

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